荒野のおおかみ

ヘルマン・ヘッセの作品の中で私のいちばんのお気に入り。
内容はユング派心理学的世界観の中で中年男性の精神が再生して行くというお話。
ヘッセ版ファウストと言った所か。

「畜生め!カミソリだ!!」

は名台詞だと思う。
ファウストで言うところの「茶色の薬」に相当するものか。

 

ヘッセは第一次世界大戦の影響でユング派心理学者の精神治療を受けていたらしく、作中の人物配置はおそらくアニマやシャドウと言ったユングの元型論をモチーフにしているのだろう。

実際にユング自身とも面識はあったそうだが、美的表現を追求する詩人と客観的事実を探求する学者との間には埋められない溝があったようだ。

ちなみに主人公ハリー・ハラーの名はインド神話におけるヴィシュヌ神とシヴァ神の結合体であるハリハラをモチーフにしていると思われる。

 

他のヘッセの作品では
ガラス玉演戯
シッダールタ
デミアン
が好き。

ガラス玉演戯で、あれだけ長々とクネヒトの人生を描写して来たのは只々あの衝撃的なラストの為かと思うと、色々考える。


荒野のおおかみ

投稿者:

ノクタジュール

万年筆が好きな人。